Words 1

Archive for 8月, 2017

谷口稜曄さん

Posted in 2017.8.30

NHK「あんとき、」の番組のなかで、計3回お会いして、最後にはご自宅にまで伺わせていただいた、谷口稜曄 (すみてる)さんがお亡くなりになりました。番組の冒頭と終盤に、原爆によって背中が真っ赤に焼けただれた少年の写真が出てきましたが、あれは、被爆した後の谷口稜曄さんの背中です。番組が完成して程なくして、NHKのスタッフから、谷口さんが入院されたと聞きました。その時、もしかしたら、あれが谷口さんの最後の言葉だったということになるかもしれませんとも言われていました。

谷口稜曄さんへ

僕は、なんとか ぎりぎり 間に合って、谷口さんにお会いすることができました。NHKのチームの皆さまのおかげです。最後にご自宅にて、谷口さんの背中を見せていただきながら、僕はその背中の先に、来たるべき自分の未来を見ていました。「あんとき、」でのあらゆる経験が、谷口さんとの出会いが、僕の人生を大きく動かし、つよく後押ししてくれているのを、感じておりました。あの日から、自分が向かうべき道、もうとっくに自分自身で気づいていることへの、決意が固まったのです。

最後の、最後に、谷口さんの記憶を受け取らせていただきましたことを、心より感謝いたします。ありがとうございました。この先の道で、それらを、僕自身の仕事を通して、確かに未来へと繋いでいきます。別れる間際、2人きりになった時に、涙を浮かべながら、僕に見せてくださった表情、そのお気持ちを、心に大切に記憶させて、明日からも仕事に励んでいきます。悲しみではなく、谷口さんに出会えたことへの喜びの気持ちで胸が溢れております。心より ありがとうございました。

小木戸 利光 拝 2017.8.30

エッセイ集「表現と息をしている」

エッセイ集
「表現と息をしている」

帯写真 森栄喜
装丁 吉村麻紀 前田征紀
対談 服部みれい 小林エリカ ミヤギフトシ
而立書房 刊
表現と息をしている

エッセイ集「表現と息をしている」

Posted in 2017.8.26

新聞広告 エッセイ集「表現と息をしている」

それにしても、田中正造、荒畑寒村、福沢諭吉の名前が出てきている上の記事のことが、とても気になっている。図書新聞、買いに行こう。

瀬々敬久監督映画「菊とギロチン」にて、大杉栄を演じている。昨年この撮影のために、あらためて大正時代や大杉栄についてリサーチをした。大杉栄と伊藤野枝、そしてそこに深く交差した人物達の人生を描き出している小説「美は乱調にあり」「階調は偽りなり」のなかで、作者の瀬戸内寂聴さんは、今は亡き 荒畑寒村へ直接取材をしていて、そのくだりが非常に興味深く、惹きつけられた。激しく情熱を持って生きた人の人生は、のちの時代を生きる僕達に、依然として激しく情熱的な視線を投げかけてきている。エッセイ集に詳しく書いた。映画「菊とギロチン」は、2018年公開。9月16日には、阿佐ヶ谷での現代映像研究会 足立正生/瀬々敬久の会で、映画のメイキング映像が公開されるようだ。

エッセイ集「表現と息をしている」

八月に想う

Posted in 2017.8.26

記録
「八月に想う」
トークショウ 小木戸 利光 × 稲葉 俊郎(東京大学医学部付属病院 医師)
8月13日 光明寺 本堂

一部:対談
二部:パフォーマンス

光明寺
稲葉俊郎
NHKドキュメンタリードラマ「あんとき、」
エッセイ集「表現と息をしている」

photography by 松崎香織、熊谷有依夏

多様な視点・論点 2

Posted in 2017.8.12

英国留学中の出来事。2003年、アメリカがイラクへの攻撃を開始した当時、イギリスでは各地で大規模なデモが起こっていた。僕はドキュメントとして記録しておきたいと思い、ビデオカメラを回していた。幾人かのインタビューも撮った。忘れもしないのは、イラクへの侵攻に抗議する大きなデモ行進とすこし距離をおいたところから、何かを懸命に訴えていた一人のイラク人の存在だ。彼のことが気になって、話しかけて、彼の声を聞いてみた。とても穏やかで優しい人だった。彼の話を聞いて、とても驚いた。「フセインがいなくならなければ、僕たちの国イラクの未来はないんだ。だからイラクへの侵攻はひつようなんだ」と言うのだ。戦争反対を訴える大規模なデモの傍らで、母国イラクへの攻撃を「致し方ない」こととして、その場でのマジョリティーに対して、一人小さな声をあげていた彼。その声はあまりにも小さくて、何人にも届かなかったと思う。そこには、怨恨や悲しみにより戦争や殺戮が致し方ないこととされてしまう歴史上の捻れがある。彼は自らの意志でイラクでの不自由な暮らしから逃れ、イギリスに亡命してきていた人だった。後日、ニューキャッスルのおうちに招いてくれて、他のイラク人のお友達とともに、イスラムの食事をご馳走になった。彼は心根の優しい人で、僕はこわい思いをしたり、何かを強要されたりすることは一切なかった。温かい時間だった。彼のような人は本来、戦争など望むはずはない。昨今のイギリスでの出来事を思う。ニューキャッスルの彼は、元気にしているだろうか。
可能な限り 多くの異なる視点のことを慮りながら、物事を見つめていたいと望むようになったのは、この時からだと思う。写真は、エッセイ集「表現と息をしている」のなかに文章とともに掲載しているもので、許可を得て、モスクで撮影したものです。

明日8月13日の17時〜「八月に想う」と題して、神谷町の光明寺にて、トークショウを行います。日本のお盆に、鎮魂の思いも含みながら、NHKのドキュメンタリードラマ「あんとき、」のことや、エッセイ集「表現と息をしている」のなかに綴った社会や世界の出来事についてなど、お話したいと思っています。対談相手としまして、東京大学医学部付属病院の医師・稲葉俊郎さんをお迎えします。稲葉さんや 皆さんと 対話するかのように進めていくことができればと思っています。また、後半には、謡いや音楽とともに、パフォーマンスも行う予定です。ぜひ ご来場ください。

多様な視点・論点 1

Posted in 2017.8.12

早稲田大学にて。東アジアをはじめとする各国からの学生たちが、長崎と東京で8日間を共にし、歴史について考え、話し合い、最後にグループごとに「1945年8月」という架空の共通歴史教科書を作成するというプロジェクト。その成果発表を含めた「東アジア共通の歴史認識は可能か:キャンパス・アジアの取り組み」を聴講。

あらゆる対話が英語によって重ねられる講義の中で、学生たちの国際的で、多様な視点・論点に触れて、自分の思考に新たなスペースが広がってゆきました。ものごとを断言しない ゆたかな空白のようなもの、できるなら そのままに受容する ゆとりのようなもの、そんな余地について、感覚として手掛かりがもたらされました。

2001年9月11日以前から、それ以後にかけて、僕は英国留学中に、その困難のほうにあまりにも多く直面しすぎて、身体中に酷い蕁麻疹ができ、一度 心身ともに終わったような大変苦い経験をしたけれど、昨日の早稲田大学での出会いや出来事は、あらゆる経験を経た、その道の先にあったものだと心底実感できて、それは一つの「明かり」となって、この道の先を照らしてくれています。

8月13日の17時〜「八月に想う」と題して、神谷町の光明寺にて、トークショウを行います。対談相手として、東京大学医学部付属病院の医師・稲葉俊郎さんをお迎えいたします。長崎の原爆をテーマにしたNHKのドキュメンタリードラマ「あんとき、」のこと、エッセイ集「表現と息をしている」のなかに綴った社会や世界の出来事についてなど、稲葉さんや皆さんとともにお話をしながら進めていくことができればと思っています。また、後半には、謡いや音楽とともに、パフォーマンスも行う予定です。ぜひ ご来場ください。

NHKドキュメンタリードラマ「あんとき、」

Posted in 2017.8.8


長崎の撮影現場。1945年8月9日の原爆投下により約千五百人のうち千四百人が爆死および原爆病で亡くなったと伝えられている爆心地にほど近い城山小学校。学校にいたほとんどの人たちは、瞬時に声もなく悲惨極まりない無残な姿に化し、即死している。撮影以外の日も一人城山小学校に出かけ、校庭で過ごした。そこでは、かけがえのない出会いもあった。

ドキュメンタリードラマ「あんとき、」
NHK 総合テレビ 8月9日 (水) 午前1:00~2:13 放送
NHKドキュメンタリードラマ「あんとき、」

僕らの8・15

Posted in 2017.8.8

祖父が戦地に赴く時の写真。家族で見送りをしたという。僕の曾祖母にあたる人は、憂うように、どこか遠くを見つめているように見える。エッセイ集「表現と息をしている」のなかに、文章とともに掲載している古い写真。僕は亡き祖父から何度も戦争経験について話を聞かせてもらった。祖父の片目の眼球は、銃弾の破片により傷ついていた。祖父の記憶を確かに受け取って、それらは僕の心と身体に流れて続けている。自分をつよく突き動かすものの一つに、このように、命と命の間で、受け取ってきたものの存在があると思う。

トークショウ「八月に想う」開催

Posted in 2017.8.3

「八月に想う」

トークショウ 小木戸 利光(俳優)× 稲葉 俊郎(東大病院 医師)

開催日時:8月13日(日)16:30 open / 17:00 start

会場:光明寺 本堂(東京都港区虎ノ門3-25-1)
(東京メトロ日比谷線神谷町駅3番出口より徒歩30秒)
入場料:二千円 
予約フォーム

稲葉俊郎HP

小木戸利光 statement

この度、エッセイ集「表現と息をしている」(而立書房)を上梓しました。音楽、映画、ドラマ、ドキュメンタリー、舞台芸術など、自分の仕事における出来事を通して、目の前の世界についてひたひたと思いを巡らせている本です。帯には、「9.11、3.11を経た若者たちが模索する、新たな表現の形」と謳われています。

そして、期せずして、この本の刊行と同時期に、主演をつとめていますNHKのドキュメンタリードラマ「あんとき、」が放映されることになりました。長崎の原爆をテーマにした番組で、僕は満州生まれの母と、長崎で被爆した父を持つ主人公「トシ」を演じています。

いつからか、自分の仕事のなかには、「歴史のなかの声なき声を、作品や番組や表現を通して、浮かび上がらせる」という確たるテーマが存在しています。その意味で、今回の自著と番組には、「命」「歴史」「戦争」「記憶」「祈り」など、通底しているものがあり、僕にとりましては、それらはまるで二部作であるかのように思われるほどです。

つきましては、両作品の出版と放送を記念しまして、終戦の月でもある八月に、心のうちにはしずかに鎮魂の思いを含みながら、トークショウを開催したいと思います。ゲストに、東京大学医学部付属病院の医師で、「医療と芸術」「多様性と調和」をモットーとし、芸術分野においてもアーティスト達と協同されている稲葉俊郎さんをお迎えいたします。終盤には、音楽とともに、舞踊的なパフォーマンスもさせていただく予定です。

皆さまとともに、過去・現在・未来に思いを馳せながら、目の前の世界について考え、語り合う、静かで、豊かな時間を過ごすことができましたら、幸いです。

どうぞ よろしくお願いします。

小木戸 利光

NHK 総合テレビ 8月9日 (水) 午前1:00~2:13 全国放送

Posted in 2017.8.3


ドキュメンタリードラマ「あんとき、」
NHK 総合テレビ 8月9日 (水) 午前1:00~2:13 放送
もっとNHKドキュメンタリー

小木戸利光が、NHKドラマ「あんとき、」にて、主人公のトシを演じています。
満州生まれの母(加藤登紀子さん)と長崎で被爆した父(田中泯さん)を両親に持つ被爆二世の葛藤と、戦争の記憶の継承を描いたドラマです。
ぜひ ご覧下さい !